授業を受ける

マーケティング・ハート

 「村田昭治のマーケティング・ハート」(プレジデント社)という本があります。これは、慶応の通信教育生を対象にした夏期講義(スクーリングと呼んでいます。)をそのまま本にしたものです。
 慶応の通信教育課程では、夏の3週間と秋の10週間に、スクーリングが開催されます。講義するのは、通学課程で教えている教授、助教授等が担当し、内容も同じなのです。
 通信教育は、講義がないから通信教育じゃないのか。とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。そうです。そのとおりです。私もおかしいと思います。しかし、あるのですから仕方ありません。説明しましょう。
 通信教育課程では、卒業するために必要な124単位のうち、30単位以上を夏期または秋期の夜間に行われる講義でとるように決めてあります。通常、1科目あたり2単位なので、15科目程度は授業を受けないといけない計算になります。(語学や実習が1単位なので実際にはもう少し多くなります。)夏期スクーリングは朝から夕方まで連続して3週間で8科目、夜間スクーリングは、10週間連続して夕方6時から行われ、月曜日から金曜日まですべてとれば、5科目の受講が可能になります。
 ただし、1年に計13科目も受講できませんから、この中から都合の良い時間を選んで、出席することになります。
 夏期スクーリングは1週間毎に完結するため、1週間だけ地方から上京して2科目分の勉強をすることも可能です。
 はじめに書いた、「マーケテイング・ハート」には1日目から6日目までしか講義内容が書かれていないのですが、これは最終日が試験だからです。実は私も、この講義を受けていて、最終日の試験を受けたのですが、
「何を持ち込んでも良い。となりの人と相談しても良い。」
と言われたのにはたまげました。もちろんそんな講義は、この講義だけでした。念のため。

スクーリングは別料金

 これまで、さんざん通信教育は講義がないから学費が安いという主旨のことを書いてきたのですが、授業があるのであれば、学費が安いのはおかしいのではないかというかたがいらっしゃると思います。その通り、2科目(4単位分)で16000円。別料金になっているのでした。
 一見安く見えるけど、入るとどんどん費用がかさむ英会話スクールみたいです。みたいですが、まあ値段的には可愛いものです。許しましょう。

英語の授業を受ける

 スクーリングには、一般教養科目、専門科目といった講義形式のもののほか、保健体育実技や実験の授業まであります。
 例えば、保健体育実技には水泳、スキー、バスケットボールなどがあり、選択できるようになっています。なっていますが、人気のある水泳、スキーなどは強運でないとほとんど受講は不可能です。
 大学卒業の資格で入学すると、こうした保健体育実技や一般教養科目は免除されるのですが、英語の授業だけはテキスト科目と同じように免除されないのです。ただし慶応卒の場合は免除されます。
 それほどこだわる慶応の英語の授業とは、どんなにすごい授業かと受けてみると、大したことはないのです。何でそんなにこだわるの?と思わず呟きたくなるのです。
 英語の授業は、訳読と文作の二単位でどちらも出席しないといけません。昔は教師の希望指定ができたのですが、今は指定ができなくなっています。つまり、どういう教師の授業になるかは運を天にまかせるということになります。

大学の授業は面白い?

大学の講義は、たわいもないことを難しく、理屈っぽく、わからないようにしゃべるのを一方的に聴かされる、とんでもないものだという人がいます。
 私も同感です。同感ですが、意味がない、くだらないものだという意見をいう人がいれば、「それはそうは思わない」と思います。
 どんなにとんでもなく、わからない講義にも意味はあると思うのです。講義を聴いたけれども、よく理解できなかったとします。それは自分がその講義を理解するだけの基礎知識がないのかもしれません。話している教師にはできているのだが、自分にはできていない論理の展開ができなかったのかもしれません。
 わからない講義を聴くと、少なくとも「まだまだ自分にはわからないことがある。」ということぐらいは、自覚できます。それは、大きな発見です。大げさに言えば、自分の脳を開拓するきっかけになるかもしれません。
 もう少し欲張る事にしましょう。わからなければ、わからないなりに、たとえ1つでも2つでもわかることを探しましょう。全部わかろうとすると、少しわからないことが出てきただけで、そのあとの講義を放棄したりします。それは少しばかりもったいない気がします。わからないことは、ちょっとしたメモでいいから残しておきましょう。そのうちわかるときがくるかもしれません。こないかもしれません。わかってもわからなくても、大した違いはないのです。ただわかった方が、少し楽しいんだというぐらいに思っていないと、やっていけません。

通信教育人間模様

 通信教育課程の授業に行くと、さまざまな人が来ています。高校出たてのフリーアルバイターふうのお兄さん。定年退職してから十年はたっているのではないかと思われる杖をついたおじいさん。丸の内から会社帰りに来たのか、キャリアウーマンっぽいお姉さん。電車の席とりの要領で座席を確保するのがやたら上手な熟年主婦。
 スクーリング期間中、ここは私設保育所かと思われる教室があります。これこそ母親学生会が借りている教室です。母親学生が、授業を受けている間、共同で保母さんを雇って子どもを預けていると言うわけです。
 そして、通信課程の授業は、とにかくみな熱心です。私語など皆無です。理不尽な休講もありません。通信教育課程の授業には、社会人学生が多く参加します。国際政治学の授業に外交官が、金融論の授業に大蔵省の役人が来ていたりします。そして、場合によっては教師より事情に詳しかったりするのです。

夏期スクーリング

 毎年、7月下旬から8月下旬にかけて、夏期スクーリングが行われます。なぜこの時期にやるかというと、通学生の夏休みで教室が空いているからです。しかし、なぜ通学生はこの時期に夏休みになるのでしょうか。暑くて勉強にならないからです。決して、百貨店がお中元の学生バイトを確保できるように休みにしているわけではないのです。
 通信教育生は、この通学生が暑くて勉強ができない時期に勉強せよということです。ふざけた話しです。ふざけていますが、これが事実なのです。先へ進みましょう。
 夏期スクーリングは、3回に分けて行われます。それぞれ1期、2期、3期と呼んでいます。1期と2期は横浜市にある日吉校舎で、3期は三田校舎で授業があります。日吉校舎は、都心から郊外に1、2年だけを移した新校舎だという理解をしていた私は、はじめて行ったとき、その施設の老朽化に目を疑いました。ひと事で言うと、校舎がボロです。まあ、勉強するにはさして問題はないかなあというレベルではあります。
 たいていの教室には冷房装置なる気のきいたものはありませんから、やたら缶ジュースが売れるのが夏期スクーリングの特徴です。
 夏期スクーリングは午前中が朝8時50分から12時20分まで、午後が1時から4時30分までです。とにかく授業が長くて休みが短いのですが、まあ前に出てしゃべる教師のことを考えれば、聴いているだけの学生の方が楽ではあります。
 授業が終わると、首都圏の人は自宅に帰ります。地方から出てきている人はホテルに帰るのですが、まっすぐ帰らず途中で酒を飲んでいたりする人もいます。この時とばかりに、都庁見物に繰り出す人もいたりします。
 どちらかというと、地方から出てきている人のほうが、この時とばかり、はしゃいでいるように思います。3年前まで、私もその部類でした。どちらも経験した人間が言うのですから間違いありません。
 なかには、東京へ遊びにくる言い訳のために通信教育をやっている人もいるのです。もちろん毎日まっすぐホテルに帰って英語の予習をしている人だって多いのです。多いのですが、そういう人は目立たないため見つけにくいのです。
 さて、社会人はどうやってこの期間、時間をつくるのでしょう。まず、時間をつくる必要があるのは、1期から3期までの各期の最終日です。この日は試験があるので、どんなに他の日に出席していても、この日に出席していないと単位がもらえません。ですから、最終日は必ず出席できるように確保する必要があります。つぎに語学の場合は、出席が必ず必要ですので、残りの6日間のうち最低4日間は出席する必要があります。
 その他の一般教育科目や専門科目は、出席をとらない場合が多いので、別に授業に出なくても良いでしょう。良いでしょうが、全く授業の内容を知らずに試験だけできるという人は、出題内容のめぐりあわせと才能の両方に恵まれる必要があるので、一般にはお薦めできません。できる範囲で休暇をとって出席することをお薦めします。

スクーリング休暇

 郵政省などのように、スクーリングに出席するためであれば、仕事を休んでよろしいという職場があります。なかには、職場の仕事を休みたいがためにスクーリングに来ている人がいます。
 大部分の職場ではそんな夢のようなシステムはありません。逆に、有給休暇や場合によっては欠勤して職場の人間に思いきり迷惑をかけ参加する必要があります。私も、スクーリング休暇などといっためぐまれた制度はありませんでしたから、適当に休暇をとって参加しました。もし、そういう休暇がある職場であれば、大いに利用しましょう。

夜間スクーリング

 夜間スクーリングは9月の下旬から12月の初旬まで、10週間にわたって行われます。月曜日から金曜日まであって、月曜日の科目を受ける場合は、毎週月曜日ばかり行くのです。時間は午後6時から8時10分までで、かつ三田校舎で行われるため、5時まで仕事がある丸の内のOLでも、受けることができるのです。
 どういうわけか首都圏に住んでいないにもかかわらず、夜間スクーリングに出席する人もいるのです。長距離夜行バスの発達で、週末だけ東京で遊ぶ地方の若者がいるということがマスコミで話題になります。通信教育生で同じようなことをしても話題にもなんにもならないのですが、やはり週一回だけ遠方から来る人がいます。
 私は、長距離夜行バスで来るような根性はないし、毎週会社を休む勇気もないので、そんなことはしませんでしたが、3年前に東京に転勤になって初めて、夜間スクーリングに出席しました。当時、私の会社から三田校舎までは30分かかったのですが、会社が5時35分までのため、うまくいっても遅刻します。また、会社が終わって直後と言うのは、仕事熱心なあまり(?)どうしても頭の中のどこかで仕事を引きずっているのと、毎週1回ずつ10週間というのが結構だるいので、夏期スクーリングの方が好きです。
 やはり、夜間スクーリングは首都圏に住んでいて、仕事を持っていないか、あるいは仕事は持っているが時間の融通がつくか、平日定休の仕事か、三田周辺に勤務先がある人に限定されると考えた方が、常識的です。

スクーリングで単位をとる

 卒業するためには、124単位を取得する必要があります。その中で、最低テキストでとる必要がある単位数、スクーリングでとる必要がある単位数というものがあります。それ以外は、どちらでとっても構いません。どちらでとっても構わないのですが、できるだけスクーリングでとったほうがいいでしょう。
 なぜなら、スクーリングは授業にでることさえできれば、テキストより単位が取り易いと思うからです。7回程度の授業では、試験の出題内容が限られますから、テキストのように本1冊すべてが範囲ということがありません。要するに的が絞りやすいのです。
 もちろん、地方の学生にしてみれば、東京で行われるスクーリングにいく回数は経済的にもできるだけ減らしたいところですが、そうした制約がなければ、スクーリングで単位をとるべきでしょう。

一般教育科目はテキストを中心に

 最初にも書いたように、スクーリングでの単位取得は制限が設けてあります。すべての単位をスクーリングで取るのは反則です。したがって、単位の取り易いスクーリングは、有効に利用する必要があります。一般教育に比べて単位の取りにくい専門科目は、テキストよりもスクーリングで単位を取るほうが賢明です。
 したがって、一般教育科目でばかみたいにスクーリングに頼った単位の取りかたをしていると、専門科目を取るときにテキストばかりになってしまい、ギブアップしかねません。ですから、できるだけスクーリングで単位をとるよう心がけながらも、一般教育はテキストで取っていくのがベストです。



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